小説「バビル2世」のお話しの続き エピソード2

こんにちは。

今回も「昭和な落書きブログ」のみくさんの

小説「バビル2世」の続きのお話し。

浩一くんと由美ちゃんのその後です。

前回のエピソード1 は温泉旅行編でした。

今回はエピソード2 で山荘編です。

今回はシリアスなエピソードです。

みくさんの発案を

みくさんの許可を得てここに紹介させて頂きます。

 

浩一くんと由美ちゃんは、結婚前に

登山列車に乗ってスイスのアルプスに

やってきました。

山登り初心者の由美ちゃん。

浩一くんにエスコートされながら山を歩きます。

そして、2人はとある山荘にやってきます。

この山荘には変な亡霊話があるといいます。

亡霊を見たという目撃者も多数。

その矢先に由美ちゃんが行方不明に。

浩一くんは真っ青になって、必死で由美ちゃんを探し回ります。

しかし一向に由美ちゃんの行方も

手がかりさえもありません。

焦り出す浩一くん。

最悪な事が頭によぎります。

頭を抱えながら

「由美ちゃん…どうか無事でいてくれ…」

 

由美ちゃんの安否がわからないまま2日が経ちました。

すると、ひょっこりと

由美ちゃんが山荘に帰って来ます。

「由美ちゃん!!」

「……」

「……由美ちゃん……?」

「由美ちゃんの目が変だ」

「ごめん。由美ちゃん。」

浩一くんは封印していた超能力を使って

由美ちゃんの心を読もうとします。

しかし、読むことができません。

「心の中がドロっとしている。由美ちゃんの心の中じゃない。体は由美ちゃんだけど中に他のものがいる!!」

 

浩一くんは葛藤します。

相手は何者かがわかりません。

「一体どうすればいいんだ」

 

すると由美ちゃんは山荘を出て歩きだしました。

浩一くんは、後をつけていきます。

由美ちゃんは山の森の奥まで歩いていきます。

そこには洞窟が…

すると由美ちゃんが後ろを振り返ります。

由美ちゃんは凄い形相で浩一くんを睨みつけてきます。その瞬間浩一くんは、

テレキネシスで飛ばされたり、叩きつけられたり

体がぐーっと締め付けられて窒息しそうになります。

落雷も落とされます。

浩一くんは由美ちゃんの体を傷つける事ができず

反撃をする事ができません。

「お前は誰だ!」

浩一くんが言いますが、問答無用で反撃されます。

浩一くんが超能力を使って避けるので、敵も興味がで始めたのか、ようやく会話になります。

 

「お前は何者なんだ!何故その子の体に入り込んだ?」

「ほぉ、心の声が使える者か。」

「この女は同じように力がある。絶好の器だ。」

「何?」

「ここから出る気はない。私は復讐する。邪魔をするなら容赦なくお前を倒す」

そして再び激しい攻撃が始まります。

 

浩一くんは防衛だけしながら、現状打破を考えます。

「由美ちゃんの意識はどうなっているんだ?」

「そうだ。由美ちゃんの意識を表に引っ張り出せば あるいは…!」

浩一くんは、強力なテレパシーを使って由美ちゃんに呼びかけます。

敵の意識をすっ飛ばし、もっと意識の底に閉じ込められている由美ちゃんの意識に…

 

「由美ちゃん、僕の声が聞こえるかい?

どこにいる?由美ちゃんっ!!」(テレパシーの声)

浩一くんは、意識のありったけを込めて、由美ちゃんを探します。

 

意識を眠らされていた由美ちゃんに

浩一くんの意識や想いが由美ちゃんにダダ漏れ

伝わってきます。

浩一くんの呼びかけにようやく目覚め、

「浩一くん!」

 

浩一くんは由美ちゃんの思念の中に飛び込みます。

小さくなって眠っているかのような由美ちゃんの心を

浩一くんがありったけの想いで起こします。

 

(由美ちゃんの意識の中)

「由美ちゃん!」「浩一くん?」

「こんな所で眠っってちゃいけない。早くここから出るんだ」

「ダメよ。出られないの。」

「僕がついてる。一緒に飛び出すんだ。さあ!」

(浩一くんが手を差し伸べて由美ちゃんがその手を握る)

浩一くんは由美ちゃんを抱き寄せて抱き抱えるようにそこから上にジャンプするように飛び出す。

その瞬間、由美ちゃんの中に亡霊の卑しき記憶が流れてきた。

同時に由美ちゃんの意識は、由美ちゃん自身に戻り

敵の想念が外に追いやられます。

 

浩一くん自身も消耗しつつも、スクッと立ち上がり

由美ちゃんの方へ走り寄ります。

「浩一くん!」「由美ちゃん!」

 

敵と最後の決戦という所ですが肉体のない、亡霊の力は半減以下になり、もはや浩一くんの敵ではありません。

すると由美ちゃんが「待って!」

浩一くんを止めます。由美ちゃんが話し出します。

 

「貴方は過去に、超能力のせいで迫害されて死んだ。しかも恋人に裏切られて。」

「それで、貴方自身の想念がとどまったのね。」

「貴方も浩一くんと同じように、バビル1世の血をひいているのよ」

敵も浩一くんも驚きます。

「貴方の意識下に、バベルの塔から呼び掛けられている記憶があった」

実際にそこに行っているけど、主に相応しくないと

返されている。

由美ちゃんは読み取ったけれど、亡霊本人自身は消されていて覚えていない記憶。潜在意識下の記憶…

亡霊自身も、その事を思い出して動揺しています。

 

「浩一くんも、バビル2世として敵と闘った。その使命を終えて戻ってきてくれたの。たとえ超能力があろうと、なかろうと、浩一くんは浩一くんだもの。」

「もう超能力は使わないと言ってたのに、私を救うために封印を解いて、超能力を駆使して、命懸けで私を助けてくれた」

「力は貴方と同じなのよ。浩一くんも。

だけど、だけど…」泣き出す由美ちゃん。

浩一くんが側によって肩を抱く。

亡霊は、2人がお互いを大切に想っていて、恋人以上の

深い絆がある事に気づきました。

「2人を引き裂く所だった。人にない能力を持っていても、ちゃんとわかってくれる人が、近くにいるっていうのは心強い事だ。私の愛した人も、そうであってくれたなら…」

 

すると亡霊の姿が薄くなっているのに気づく2人。

「姿が…」

「もう終わりにしよう。お前達に会えて良かった。

幸せにな」

亡霊は成仏します。

 

空を見上げてお互い見つめ合い、ホッとした表情で

2人は抱き合います。

「良かった」「浩一くん」「由美ちゃん」

すると突然、由美ちゃんが泣き出します。

 

「浩一くん。ありがとう。」

「何?」

「浩一くんのおかげで戻って来れたの。」

「うん。」

「眠っていたのよ、私。」

「そうしたら浩一くんの声が聞こえた。」

「それで、出て来られたの。浩一くんの想いや気持ち、全部見えた。それが力になったの。」

「由美ちゃん…」

ボロボロ泣く由美ちゃん。

 

「私のせいで超能力を使わせてしまって…ごめんなさい。」

「自分(浩一くん自身)を守る為と、テレパシーしか使ってないから。」

「それよりも由美ちゃん自身が、彼女の気持ちを救った。」

「浩一くんと外に出る時に、彼女の意識や想い、過去が私の中に流れてきたの。それで知ったの。」

「でも…本当はすごく怖かった…どうしてわたしが?」

由美ちゃんは、わんわん泣き出します。

「運悪く遭遇して、巻き込まれただけだから」

「もう大丈夫だから」

浩一くんが慰めます。

 

由美ちゃんを抱きしめながら

(心の声)ひょっとしたら由美ちゃん自身も

1世の血が流れているのかもしれない。

 

由美ちゃんを抱きしめながら、空を眺める浩一くん。

(心の声)あの亡霊の本当の名前も聞いてなかったな

 

浩一くんが再びギュッと由美ちゃんを抱きしめます。

由美ちゃん顔を赤くして

「ど、どうしたの?」

「いや、何でもない。」

「戻ろう。歩けるかい?」

由美ちゃんが頷きます。

「日本に戻る前に、花を手向けに来ようか。」

「ええ」

 

浩一くんと、由美ちゃんは、

後ろを振り返りつつ洞窟を後にしました。

 

 

⭐︎追記 みくさん談

浩一くんは、バビル1世の話をして、不安にさせたくないと思っています。

ヨミとの闘いの事もほとんど話していません。

由美ちゃんが知っているのは、新聞に載ったり、

実際に遭遇した事件や、局長さんも絡んだ事件だけです。

 

今回の件も、由美ちゃんは運悪く事件に遭遇して

巻き込まてしまったとという程度しか話はしません。

 

浩一くんは由美ちゃんを絶対に巻き込みたくない。

その想いはバビル2世の頃から一貫しています。

だから敢えて由美ちゃんと会うこともしませんでした。

 

浩一くんは生涯かけて由美ちゃんを守り続ける覚悟で

彼女の側にいます。

自分の命をかけて。